つみたてNISAで積立投資をすると、どのくらいお金が増えるでしょうか?
ほったらかし投資だけでどれだけお金が増えるのか?
もっとリターンが大きい投資方法があるのか?
TOPIXの過去20年のデータを用いてシミュレーションしてみました。
普通の積立投資で積み立るとどうなるか、次にもっとリターンが大きくなる修正積立法をっご紹介します。
つみたてNISAでどのくらいお金が増えるか検証結果を解説
つみたてNISAでどのくらいお金が増えるかを過去のTOPIXデータを用いて検証してみました。
条件は次の通りです。
- 2003年10月からスタート
- TOPIXの月末終値に毎月1万円を投資する
- 20年間運用する
それでは検証結果を見てみましょう。
2003年スタートの場合
毎月1万円をTOPIXに投資した場合、
224万円 → 421万円 となり、約197万円のプラスとなりました。元本が188%と、2倍近く増えました。
このグラフで注目していただきたのは、←→ の部分です。
折れ線グラフは評価額で棒グラフは投資額。
グラフの中心あたりで、青い折れ線グラフが棒グラフの上に抜けて黒字化しています。それ以降はずっと棒グラフの上のプラス圏に推移しています。
プラス圏に抜けたあとは、TOPIX終値が相当落ち込まないかぎりはマイナスになりづらいと言えます。
反対に、つみたて投資を開始してから10年以上、赤字が続いていることもわかります。
積立投資は長期投資が大事といわれるのは、黒字化するまでにこのように時間がかかるからです。
その代わりに、株価が低迷している時にずっと買い続けて購入単価を下げた結果、株価が上昇したタイミングでプラス圏へ入っていきます。
つみたて投資を始めてもなかなか成果がでないからといって途中で辞めてしまわないように、黒字化まで10年以上かかることを理解しておくと良いと思います。
2000年スタートの場合
今後はスタート時期を早めて2000年1月につみたて投資を始めた場合はどうなるかを見てみます。
株価が高騰している時期に投資を始めるのか、低迷している時に始めるのかで、結果は変わってくるはずです。
2000年1月から、毎月1万円をTOPIX月末終値に20年間つみたて投資をした場合の結果がこちらです。
224万円 → 331万円 となり、約107万円のプラスとなりました。元本が148%と、1.5倍近く増えました。
2003年にスタートしたケースより、約90万円のマイナスです。プラス圏に意向している時期が近いので、2000年代初頭は株価が低迷していたことがわかります。
このような結果を知ると、もうすぐ株価が上がりそうな時にスタートした方が良いのではないかと考える人もいるかもしれません。
でも、いつ株価が上昇フェーズに入るか、逆に低迷していくのかは、誰にも予測ができません。
それに、株価が低迷している時期が長いほど購入単価が下がりますので、その後株価が上昇したときに利益が出やすくなります。
今回はこの2ケースを調べましたが、投資した金額の2倍、1.5倍という結果となりましたので、つみたて投資は長期で考えると成果が出やすい投資だということがおわかりいただけたと思います。
パフォーマンスを改善させるTOPIX修正積立投資法
ここで、定額のつみたて投資よりリターンを改善させるTOPIXによる修正積立投資法をご紹介したいと思います。
これは竹中正治龍谷大学経済学部教授がこちらの記事で紹介している投資法です。
まず前提知識としてボリンジャーバンドについて説明します。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは、移動平均線と標準偏差の線で表されたテクニカル指標のことです。
難しい説明は省きますが、ボリンジャーバンドは折れ線グラフです。真ん中の黒い線が5年移動平均線、青が±1α、赤が±2α、グレーが±3αといいます。αは標準偏差の単位で、データのばらつきを表します。
ボリンジャーバンドでわかることは、バンド内に株価が入る確率です。
3αのバンドの間には99.7%の確率で株価が入ります。実際に、グレーのバンドの中に株価が収まっていることがわかります。
次に1αのバンドを見てみましょう。1αの間に株価が収まる確率は68.3%です。すると、約30%はバンドから外れた株価になります。
この性質を利用して、株価が5年移動平均から大きく外れたときに売買すると、定額つみたてよりもパフォーマンスが上がります。これが修正積立投資法です。
TOPIXによる修正積立投資法
修正積立投資法は次のようなものです。
毎月定額でTOPIXに投資をするところは普通のつみたて投資と同じです。
そして、TOPIXの月末終値が5年移動平均より30%下回った月は、毎月のつみたて額の5倍の金額で購入します。
反対に、30%上回った月は5倍の金額を売ります。
株価が下がったら買い増し、上がったら売って利益を確定する。
このような投資法になります。
修正積立投資法でどのくらいお金が増える?
それでは、修正積立投資法でどのくらいパフォーマンスが改善するのか、シミュレーションしてみましょう。
上で紹介した2003年と2000年スタートのグラフに、修正積立投資法のシミュレーション結果を重ねてみました。
2003年スタート 修正積立投資法
毎月1万円とTOPIX月末終値に投資して、5年移動平均から30%乖離したときに、5倍の金額を売買した結果です。
331万円 → 609万円 となり、約278万円のプラスとなりました。元本が184%と、2倍近く増えました。
パーセントで比較すると、定額積立投資よりパフォーマンスが4%低下しましたが、評価額は81万円改善しました。また、数か月ですがプラス圏に早く入りました。
2000年スタート 修正積立投資法
2000年にスタートした場合はこうなりました。
357万円 → 573万円 となり、約215万円のプラスとなりました。元本が160%と、1.6倍増えました。
このケースでは、定額積立投資よりパフォーマンスが12%改善し、評価額も108万円改善しました。また、同じく数か月ですがプラス圏に早く入りました。
この2ケースから、修正積立投資法は株価が低迷している時期が長いほど、パフォーマンスの改善に役立つということがわかります。
修正積立投資法で成果が出にくいとき
修正積立投資法で成果が出にくい局面があります。
それは、投資をスタートした時期がちょうど売り局面だったときです。株価が高騰しているタイミングで修正積立投資法をスタートすると、売れるだけの株がまだ充分に購入できていないからです。そのような場合は、売りシグナルが出ていても、売ることができません。
また、あくまで過去のデータに基づいたシミュレーション結果ですので、将来も期待したパフォーマンスが得られるかどうかはわかりません。
まとめ
過去のデータによると、TOPIXで15年以上毎月定額のつみたて投資をしていくと、
元本の1.5倍~2倍となるシミュレーション結果を得ることができました。
また、修正積立法を取り入れたシミュレーションでは、
株価の上昇が早いパターンではパフォーマンスは低下するものの評価額は1.5倍になり、
株価の低迷が長く続くパターンでは、パフォーマンスは改善し評価額は1.7倍となりました。
つみたて投資は、いつから始めても、15年以上できれば20年以上の長期投資を行うと、利益を出しやすく再現性が高い投資法だといえます。
つみたてNISAの参考になさってくださいね。