2023年6月14日に「認知症基本法」が成立しました。こちらの記事では、この法律によって、いったい何が変わるのかについて調べてみました。
参考にさせていただいたのは、この法案をとりまとめた鈴木隼人衆議院議員のブログです。それではさっそくみていきましょう。
「認知症基本法」が成立すると何が変わるか?
「認知症基本法」が成立すると、
本人や家族が苦しい思いをせず、
認知症になっても希望を持って、
自分らしく暮らし続けることができる社会が実現できるようになります。
法律の後押しによって、今後は、企業からも、認知症の人やその家族へのサポートするようなサービスが、どんどん生まれてくると思います。
「認知症基本法」の目的
「認知症基本法」の目的は、
認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進
することです。国と地方が一体となって推進していくことになります。
「認知症基本法」の5本柱
「認知症基本法」は次の5つの柱からなっています。
- 認知症の人の尊厳の尊重の徹底
- 認知症に関する正しい理解の普及
- 認知症のバリアフリー化の推進
- パーソンセンタードケアの導入
- 予防法・治療法等の確立
それでは、順を追ってみてみましょう。
1 認知症の人の尊厳の尊重の徹底
薬剤の過剰投与で症状が悪化したり、かえって寝たきりなるケースや、ベッドに身体を縛り付けるなど過度な身体拘束が行われるケースが報告されているそうです。
そこで、この法案では、認知症の人の尊厳を尊重することが最重要理念となっています。
認知症の人の意向を尊重して、住み慣れた地域で、自立した生活ができるような取り組みを目指します。
2 認知症に関する正しい理解の普及
家族がつい認知症の人の失敗を責めてしまったり、施設で入院患者をベッドに縛りつけたり、誤った対応をしたために、かえって認知症の症状を悪化させてしまうケースがみられます。
そこで、認知症ケアに関する正しい知識を普及していかなければなりません。
認知症の原因となる疾患は数十種類もありますが、治療可能なものもあるそうです。
患者さん一人ひとりを丁寧に診察し、治療可能な疾患を見極めたり、ケアを行うための、医療・介護人材の養成も行います。
3 認知症のバリアフリー化の推進
イギリスでは業界ごとに、『認知症フレンドリーガイドライン』を策定しているそうです。
たとえば、バスの運転手さんが目的地に到着したことを知らせてくれたり、銀行のスタッフがATMから窓口に誘導してくれたりします。
日本でも同じように、業界団体が『認知症バリアフリー宣言』を策定するのを国が支援します。
とくに、公共交通事業者、金融機関、小売業者などに対しては、認知症の人に配慮したサービスを提供するよう求めています。
こうしたサービスが充実してくれば、認知症の人が、住み慣れた地域で自立して暮らすことができるようになりますね。
さらに、仕事をしたり、社会活動に参加することも進められていきます。
4 パーソンセンタードケアの導入
認知症の人がどこにいても適切な医療を受けられる体制を整備していきます。
- 認知症だけではなく様々な病気への対処と予防
- 生活支援
- 孤立対策
- エンドオブライフケア
こうした、認知症だけではない課題に対処できる体制ができるようになります。
国、地方自治体、医療・介護サービス事業者などが連携することになりますね。
5 予防法・治療法等の確立
これまで小規模に行われてきた研究に対して、国がバックアップしていきます。
抜本的に効果のある治療法や、予防に効果のある製品やサービスが求められていますので、こうした研究を推進していきます。
まとめ
厚生労働省の調査では、80年代後半の方の5割弱が認知症になるとされています。
人生100年時代では、いまよりもっと認知症の人の割合は増えていきます。
「認知症基本法」が成立したことによって、
予防や治療の研究が進むこと、
そして、認知症の人が自立して生活できるよう支援する製品やサービスが充実してくること、
認知症になっても働き続けたり社会参加ができるようになること、
がわかりました。
「認知症基本法」のもとで、私たちが安心して老後をむかえることができるよう、今できることから始めていきたいものです。