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入院

おひとりさまは保証人がいなくても入院できる?退院後のサポートは?亡くなった後はどうする?

入院したとき、同意書や保証人のサインが求められたことありませんか? 

家族がいてくれたら何も疑問に感じませんが、おひとりさまになったら、あれ?これってどうすればいいんだろうって思いますよね?

そこでこちらの記事では、おひとりさまが入院するとき保証人はどうすればよいかについて調べてみました。

Contents
  1. 結論:保証人がいなくても入院できる
  2. 医療・介護システムの現状と課題
  3. 保証人がいない人はどうすれば入院できる?
  4. おひとりさまの具体的な困りごとへの対処方法
  5. おひとりさまの認知症対策とエンディング準備は共通している
  6. まとめ

結論:保証人がいなくても入院できる

最初に結論からお伝えすると、おひとりさまが頼れる人がいなくて保証人がいなくても、入院できます。

どうするかというと、病院の対応と公的制度で、なんとかカバーしていくという方法です。漠然とした対処方法ですよね。これには理由があります。おひとりさまに対応した制度がまだ整備されていないからです。

さらにいうと、おひとりさまの状況もそれぞれ違うし、病院の方針も、市区町村の方針もバラバラ。

ですので、結論としては、状況に応じていろいろな方法があるという回答になってしまうのですが、少し詳しく見ていきたいと思います。

医療・介護システムの現状と課題

現在の医療・介護システムは家族がいることを前提としている

これまでの医療に関する制度は、家族がいることが前提に作られています。ですから、家族がいないおひとりさまのニーズと合っていないということが現代の課題となっています。

実際に病院では、身寄りがない患者が増加していて、おひとりさまへの対応について課題を感じています。

おひとりさまは将来病気になったときの不安があり、病院側もすでに対応に困っている状況。現実のニーズと制度が合っていないことがわかります。

国も病院も身寄りのない患者への対応に課題を感じている

厚生労働省では、すでに、身寄りがないおひとりさまが入院するときの課題について調査研究してます。

今後、家族がいない人にも対応した新たな制度を検討すべき、という提案がなされていますので、将来的にはこうした課題は解決されると思います。

でもそれまでの間はどうすればよいか。

厚生労働省は医療機関や福祉関係者に向けたガイドラインを公表しています。このガイドラインは、現在すでにある仕組みを使って、病院の対応と公的制度で対応できるように作られているんです。

おひとりさまが入院するときの課題

おひとりさまが入院するとき身元保証人や身元引受人がいないため、次のような課題が発生します。

  1. 緊急連絡先がない
  2. 治療や入院に関する意思決定が一人でできるか
  3. 医療費・入院費の支払いができるか
  4. 入院中に必要な生活用品の準備が一人でできるか
  5. 退院後の生活支援がない
  6. 亡くなった場合の遺体や遺品の引き取り、葬儀等を取り仕切る人がいない

こうした課題は、たとえば痴呆症などで判断能力が不十分な場合は、成年後見制度という制度で対応されるので、とりあえず大丈夫です。

ところが、病気で具合が悪いけれども、判断能力があり、介護が必要なければ、福祉制度の対象外で利用できないんです。

こちらの記事を読んでくださっている方もそこを心配されていると思います。

保証人がいない人はどうすれば入院できる?

厚生労働省のガイドラインの内容

厚生労働省が調査研究したガイドラインによると、身寄りのないおひとりさまに想定される支援は次のような内容となっています。

おひとりさまへの支援内容
  • ➀ 医療・ケアチームとの連携
  • ② 患者の状況に応じた介護・福祉サービスの相談
  • ③一部負担金の減額・免除・支払猶予や無料定額診療事業、生活困窮者自立支援制度、生活保護制度等の行政サービスへの相談
  • ④ 支払い方法の相談
  • ⑤ 成年後見制度や日常生活自立支援事業等の権利擁護の制度の利用相談

病院の対応と、いますでにある公的制度を利用して、おひとりさまをサポートしていこうという考えです。

入院することになった病院を中心に、こうした支援に携わる関係者が必要かどうかも含めて検討されます。

おひとりさまへの支援に携わる関係者
  • 医師・看護師
  • ケアマネージャー
  • 訪問介護
  • 地域包括ケアセンター
  • 社会福祉協議会
  • 相談支援専門員
  • 日常生活自立支援事業
  • 民生委員
  • 成年後見人・任意後見人・死後事務委任契約者
  • 大家・高齢者住宅
  • 友人・知人
  • 身元保証等高齢者サポートサービス

民間の身元保証サービス

上でご説明したとおり、厚生労働省は公の制度を利用してなんとか対応しようとしています。

その一方で、民間では、身元保証等高齢者サポートサービスが増えてきています。

しかし、身元保証サービスは、まだ監督官庁が明確でなく、利用者からの苦情も把握されずらい現状があるのです。

運営主体もさまざまで、サービス内容や料金もバラバラ。過去には多額の保証金を預かったまま破綻した団体もあります。法整備が進むまでは、契約は慎重になさってくださいね。

おひとりさまの具体的な困りごとへの対処方法

さてそれでは、少し具体的なお困りごとを見ていきたいと思います。

クレジットカード払いにすれば保証人がいらないケースも

病院が保証人を求めている理由の一つが、入院費などの支払いができない場合の保証です。

そこで、病院によっては、

  • 入院費用をクレジットカード払いにしたり、
  • 病院に入院保証金を事前に預けることで、

保証人が不要になるケースがあります。入院することになった病院に相談してみましょう。

入院の準備が自分でできないときは?

パジャマ、下着、タオル、洗面用具、生活用品など、自分で入院に必要な物品の準備ができないときはどうしたらよいでしょうか。

そんなときは、

  • 病院のレンタルの活用、
  • 友人知人に手伝ってもらう、
  • 有償のボランティア団体の利用

などが考えられます。

入院の準備は普段からしておく

というわけで、入院の準備は普段からしておくと安心なんですね。

入院用のバッグを一つ決めて、そこに必要な生活用品を入れておきましょう。

ちなみに、入院用のバッグと防災バッグは内容が共通するものがあります。そこで、こちらでは2つのバッグを用意することをおすすめしたいです。

入院のときは➀と③のバッグ。避難のときは➀と②と③のバッグ。といったようにしておけば、準備も管理も楽になります。

  1. 入院用兼防災用バッグ…下着、洗面用具、タオル、食器(コップ、スプーン、フォーク、箸)、自宅のスペアキー、お薬手帳、連絡先(親戚・友人・知人)、スマホの充電池とケーブル、少額の現金を入れたお財布、入院費支払や生活用品購入のために身近な人に出金してもらうための専用銀行口座(たとえば30万円入金しておく)とキャッシュカード、パジャマ(災害時は自宅に残して避難)、3日分の水や食料(入院時は自宅に残して入院)
  2. 防災用バッグ…懐中電灯、ヘルメット他
  3. 貴重品バッグ

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入退院のとき、必要な物品は赤帽で運んでもらう

入退院の際、必要な生活用品を運ぶにはどうしたらよいでしょうか。重い荷物を一人で持ち運ぶのは大変です。 

タクシーはトランクに乗せてはくれますが、玄関から荷物を運んでくれることはありません。

そこでおすすめしたいのが赤帽です。自宅玄関から病院まで、病院から自宅玄関まで、荷物を運んでもらえる赤帽さんがいます。

20km以内で5000円程度が目安。赤帽は個人事業主なので、サービスや料金がそれぞれ異なります。病院までの送迎に対応してくれるかどうか、お近くの赤帽に確認してみてください。

退院後の生活はどうする?

退院後に支援が必要な場合は、ケアマネージャー、相談支援専門員、任意後見受任者、身元保証等高齢者サポートサービス等を活用することになります。

また、高齢者の場合は地域包括支援センターにも相談できます。

病院から紹介してもらえることもありますので、まずは病院に相談してみてください。

また、市町村独自の対応があるかもしれないので、自治体にも相談してみましょう。

もしおひとりさまが亡くなった場合、遺体の引き取り・遺品整理・葬儀はどうなる?

もしおひとりさまが亡くなった場合はその後どうなるでしょうか?

引き取ってくれる親族等がいなければ、遺体の引き取り・納骨・遺品整理は市町村が行うことになります。

この場合は、自分の希望は反映されません。お墓の指定もできません。簡素な対応となります。さらに、実際には市町村の対応が遅いという指摘もあるようです。

もし「自分が亡くなった時にはこうしてほしい」という希望がある場合には、友人知人に頼んでおくか、任意後見受任者や身元保証等高齢者サポートサービスなどの契約しておくなどの方法があります。

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おひとりさまの認知症対策とエンディング準備は共通している

公的制度には個人の希望は反映されない

おひとりさまが認知症になったとき、そして、おひとりさまが亡くなったとき、その後はどうなるでしょうか?

家族がいれば、時間をかけて共に生活していますから、本人の希望や好みを自然に理解しています。本人が特に認知症やエンディングの準備をしていなくても、家族は本人に代わって本人が望むであろう希望を想像して叶えてあげることができます。

しかし、おひとりさまが認知症になったときや亡くなったときには、公的制度のサポートに頼ることになります。公的制度は、事前の意思表示がなければ、個別の希望を叶えるようなことはなく、一般的な共通のルールしかありません。

特にこだわりや希望がなければ公的制度に頼れば大丈夫です。けれども、もし「こうしてほい」という希望があるなら、その希望に沿った対応をしてもらうための準備が必要になります。

治療方針・生活環境・葬儀・埋葬・遺産の希望があるなら意思を表明しておく

たとえば、治療方針、生活環境、ペットを誰に預けるか、葬儀や埋葬の方法、遺産や家財道具の処分に、こうしてもらいたい、という希望があるなら、事前に意思を表明しておくことが大切です。

いざというときに周囲の方におひとりさまの意思を尊重した対応をしていただくことができます。

「事前指示書」で治療方針や生活環境の意思表示をする

治療方針への同意は、判断能力があればおひとりさま本人が行うのが原則です。

でも、認知症になったり、あるいは、認知症までいかなくても、病気などのストレスで一時的に判断能力が低下してしまうかもしれません。

そんなときのために、「事前指示書」を準備しておくのがおすすめです。病院によっては、入院時に、病院側から「事前指示書」と同じ内容について確認されることもあります。

「事前指示書」は法的な効力はありません。

それでも、医療関係者は、「事前指示書」によって患者の意思に沿った治療を行うよう努力してくれます。書式はインターネット上で無料で入手できるものがたくさんありました。その中でも、内容が充実してた2つの事前指示書をご紹介します。

半田市版「医療・ケアについての私の事前指示書」

これからの治療・ケアに関する話し合い-アドバンス・ケア・プランニング –

「エンディングノート」で治療方針・生活環境・葬儀・埋葬・遺産の意思表示をする

エンディングノートは書式が自由で誰でも簡単に作成できますが、遺言書とは違って法的効力がありません。法的効力がなくても、残された家族が参考にできるという点で、作成する意味があります。

でも、家族のいないおひとりさまにとってもエンディングノートは大切なんですね。

エンディングノートというと、死後のことと考えがちです。

でもそれだけではなく、判断能力が低下した時のために、治療方針や生活環境などについて意思表示しておくことができるんです。

いざというときに周囲のサポートしてくださる方々に、おひとりさまの意思を伝えるノートになります。

もちろん、おひとりさまの場合は、エンディングノートを書いただけでは終わりません。この内容を誰に託すのかを考える必要があります。

「エンディングノート」は誰に託せばいい?

認知症になった場合

判断能力が不十分になった場合には、家庭裁判所が選任した成年後見人が、本人に代わって、財産を管理したり、介護サービスや老人ホームへの契約締結を行うことができます。

成年後見制度の申し立ては、親族が申し立てますが、頼れる親族がいない場合は、市町村の長が代わりに申し立てを行います。

成年後見人が代理で、医療に関する同意や延命措置をどうするかの対応、その他契約の判断をするときに、エンディングノートを参考にしてもらうことができます。

認知症に備えて任意後見受任者を決めておくという方法もある

判断能力が不十分になった時に備えて、あらかじめどうしたいのか決めておくこともできます。これを任意後見受任者といいます。判断能力があるうちに自分で後見人を選ぶことができます。

任意後見受任者を決めておくメリット

治療方針や受けたい介護サービス、入所したい施設などの条件をあらかじめ伝えておくことができる点です。法的な効力もあります。

任意後見受任者を決める方法

あらかじめ公証役場で任意後見契約を締結します。

そして、判断能力が不十分になった場合は、任意後見受任者が診断書等をもとに、家庭裁判所に申し立てを行うと効力が発効されます。

呼び方も、任意後見受任者から任意後見人と変わるんですね。

事前に、病院に任意後見契約を締結していることを伝えておくことで、いざというときには病院から任意後見受任者へ連絡されます。

任意後見受任者は誰がなれる?

任意後見受任者は判断能力のある成人であれば誰でもなることができます。

弁護士や司法書士などの有資格者を選ぶケースが多いのではないかと思いますが、必ずしも有資格者である必要はありません。

成年後見人・任意後見人・任意後見受任者は死亡届の届出人になれる

成年後見人・任意後見人・任意後見受任者は死亡届の届出人になることができます。

注意点:成年後見人・任意後見人・任意後見受任者は亡くなった後の手続きはできない

成年後見人・任意後見人・任意後見受任者は亡くなった後の手続きは法律上できません

遺体の引き取りや納骨などを委任するためには、「死後事務委任契約」という契約が別に必要になります。

判断能力があるうちにこの契約を結んでいない場合は、市町村が対応することになります。

ですので、判断能力があるうちに、任意後見契約と同時に「死後事務委任契約」も締結しておくと手続きがスムーズにすすみます。

「死後事務委任契約」については後で解説しますね。

財産管理等委任契約で銀行に行けなくても安心

認知症にならなかったとしても、病気やケガで銀行に行けなくなってしまうことってありえますよね?

そんなときのために、任意後見契約と同時に「財産管理等委任契約」を契約しておけば、代理で銀行に行っていただくことができるようになります。

少しややこしいですよね? 法律で細かく定められているので、知らずに契約してしまうと「あれ?これはやってもらえないの?」と勘違いしてしまいますので気をつけましょう。

「死後事務委任契約」と「遺言書」を活用して「エンディングノート」の意思を実現し理想の終活にする

死後の手続きは、「死後事務委任契約」と「遺言書」の内容でカバーすることができます。

「死後事務委任契約」と「遺言書」があれば、エンディングノートの希望を叶え、自分が考えた終活を実現することができるんですね。

死後事務委任契約は誰と契約できる?

死後事務委任契約は判断能力のある成人であれば誰とでも契約ができます。

弁護士や司法書士などの有資格者、金融機関や身元保証等高齢者サポートサービスなどの法人、一部の社会福協議会(相続人がいない・預託金が必要・生活保護者ではない等の条件あり)、友人・知人などが考えられます。

死後事務委任契約でできること
  • 死亡診断書の受け取り
  • 死亡届の提出
  • 遺体の引き取り
  • 火葬
  • 葬儀
  • 納骨
  • 永代供養
  • 入院費の精算
  • 親族・知人への連絡 SNSでの告知
  • 遺品整理
  • 健康保険証の返却、年金の受給停止手続き、介護保険の資格喪失手続き
  • ペットの受け入れ先
  • 墓じまい

遺言でできること

遺言は、相続や財産の処分について決めることができます。

相続人がいない場合は、相続財産は国庫に帰属します。

銀行口座の解約ができるのも相続人。死後事務委任契約では銀行口座の解約はできません。

反対に、遺言に「遺骨は海に散骨してください」と書いてあっても、それは死後事務委任契約の内容になりますので、遺言では法的な効力はありません。

おひとりさまであっても、お世話になった方へのお礼をしたいとか、寄付をしたい団体があれば、公正証書遺言を作成し、相続人を決めることをおすすめします。

友人に頼む場合はどうする?

遺体の引き取りから火葬、納骨、遺品整理など、さまざまな手続きをスムーズに行うためには、任意後見契約や死後事務委任契約を結んでおいた方が、法的な効力があり無難といえます。

そうした契約がないまま友人にお願いすると、疎遠であっても法定相続人(親、兄弟姉妹、甥や姪)がいるケースでは、法定相続人から委任状をもらう必要があったりして、友人はスムーズに手続きできません。

任意後見契約があれば死亡届の署名をしてもらえますし、死後事務委任契約があれば火葬や納骨を進めてもらうことができます。

もちろんこうした手続きにはお金がかかります。

かかる費用やそのお礼として、遺言で友人を相続人にする、生前に預託金として預ける、生命保険で支払うなどの方法があります。

法定相続人がいる場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相続割合も相談してください。

まとめ

身寄りがなくても安心して医療が受けられるような体制が整うまでもう少し時間がかかりそうですね。

そんな中でも、医療や介護の現場では今ある制度を活用して、おひとりさまの意向に沿った医療が受けられるよう、さまざまな関係者が工夫されていることがわかりました。

日々の健康的な生活を心掛けつつ、自分がどのようなエンディングを望むのか、考えておきたいものですね。

参考サイト

厚生労働省:身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン

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